なんでも頭のなかでやってしまいがちだと思うのです。
今抱えてるプロジェクトのこと、会社の人間関係のこと、そして家族の問題。
その瞬間は1つのテーマを考えていたとしても、ちょっと考えに詰まるとすぐ次の議題に思考が移ってしまいます。
帰宅途中に考えにふけってみても、疲れていてなんだかめんどくさいことに感じたり、そのうち最寄り駅に到着して、その日はそれでおしまいになるのです。
問題なのは、なんでも頭の中で済ましてしまうことです。
考えは濁流のように高速に、流れやすい方に流れていきます。
しかし、思考スピードを緩めれば、もう少し見えてくるものがあります。
高速道路に乗っていて、道路脇の看板をじっくり読もうと思えば、ブレーキを踏んでスピードを緩める必要があるわけです。
一瞬で流れていく思考のブレーキとなるもの、つまり思考スピードを緩めるのに「書く」ことは有効です。
それは、同じ文章を頭の中で「話す」よりも、手を使って「書く」方が動作として時間がかかるからです。
さらに、書きだすことの効果は、計算の途中結果をずっと頭に残したまま暗算し続けなくても済むことです。考えを進めることだけに集中できます。
そして、マインドマップ、またはロジックツリーのような形で書きだすなら、全体を俯瞰しやすくなります。思考を進めていく中で、どの部分が手薄なのかひと目で分かります。
次に、その手薄な部分に着目し、どういう「問い」があれば、この手薄な部分の枝を伸ばすことができるのかを考えます。
考えに詰まったとしても、「問題のどこの部分を考えている」ことが見えますから、思考が勝手に次の議題に流れていくこともありません。
それにツリーの、すなわち思考の枝葉部分に意識を集中させたとしても、顔をあげたら忘れてしまうということもないので、安心して今考えるべき「問い」に集中できるのです。