2012/03/04

TCM05 : 行動を支える2つの翼

前回のエントリーで、クギの上で寝る犬になぞらえ、行動ができない自分の心情を書きました。

雑貨屋の店先で、一匹の犬が日の当たる場所でうとうとしながらしきりにうなっていた。しばらくの間犬の様子を見ていたお客が、店の主人に尋ねた。
「あの犬はさっきから何をやっているんだ?」
「ああ、あいつですか」と主人は答えた。
「あいつはクギの上に寝ているんです。だからああやってうなるんですよ」
「じゃあ、どうして移動しないのかな?」
「そこまで痛くないからですよ」

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クギの上で寝るような状態を不快に感じながらも、解決するための行動をめんどくさいことに感じ、結果的にもう少しクギの上にいることを選ぶわけです。

Pheonix



クギの上から動かないわけ


私によくある「やれなかった理由」を挙げてみます。

  • 何をやればいいのかわからない
  • 「急ぎの用でもないし、そのうち気が向いたらやるかも」とフタをした
  • 実際やりだすと「あれもやらないと、これもやらないと」と気になって進まない。その結果、後の予定もナダレ式に終わらない。

行動できない理由をまとめてしまえば、その先の行動を想像した時に感じる気持ちが、今いるクギの上の不快さと同じ、もしくはそれ以上の大きさだからです。

逆に言うと、先の行動を想像した時の不快さを、クギの上にいる不快さよりも小さくしてやればよいことになります。そうすることで、川が高いところから低い方へと流れるように、自然と行動できるようになるわけです。


2つの翼で行動しやすく


この「不快さ」を小さくするためにあれこれとツールを試しましたが、現在はTCMとタスクシュートを使っています。

それぞれの説明は次のリンク先をご覧いただくことにして、ここでは先に挙げた「やれなかった理由」をどう小さくしたのかについて書きます。

TCMについて
トライアングルコミュニケーションモデル(TCM)とは、オルタナブロガーの竹内さん(@takewave)が考案した思考モデルです。
公式ページの「TCMの特徴と効果」や「TCMの書き方」あたりをご覧いただければ、手っ取り早く理解できると思います。

思考に「カタチ」を与える-トライアングルコミュニケーションモデル公式サイト

タスクシュートについて
いつも重大な気づきをいただいているブログ、「シゴタノ!」こちらのページから読み始めてみてはいかがでしょうか。
開発された経緯からはじまり、ページ内に「TaskChute初心者に送るまとめ | 化学系メーカー研究職です」がリンクされています。


何をやればいいかわからない

→ 「○○したい」とは「何がどうなること」なのか分解する

TCMを使って考えを下に伸ばす時、はじめは「それは何がどうなること?」や「何をどうすること?」という問いかけをよく使います。
この問いかけを、実際に行動できる大きさになるまで繰り返します。最後に「それはいつやるのか?」「だれがやるのか?」「どこでやるのか?」という問いかけでしめます。
ここでやることは考えを具体化し、行動に変換する作業です。

行動できる大きさとは、その手順を考えなくても行動できる大きさのことです。
この大きさにしておかないと、実行する時に改めて手順を考えることになります。実行するたびに毎回手順を考えることから始めていれば、そのうち無意識にめんどくささを感じてしまい、そのタスクの実行自体を避けることになりかねません。

TCMを使って洗い出されたタスクは、タスクシュートに預けます。
1度の行動で済むならそのままタスクシュートに放り込みますが、いくつかのステップを踏むような行動や期日が決まった行動であれば、行き先はプロジェクト管理ツール(OmniFocus)です。


「急ぎの用でもないし、そのうち気が向いたらやるかも」とフタをした

→ それをやることで何が得られるのか、行動の意義を見いだす

これはTCMを使って、枝を上に伸ばす時にやれます。

「○○したい」などの思いを中心に書き、「そうすることで何が得られるのか?」を繰りかえし問いかけ、枝を上にのばします。何度かこの問いを繰り返すことによって答えが次第に抽象化され、その行動を実行することで得られる直接的なメリットから自身の価値観へと変わります。

上下に伸ばしてTCMが完成すると、最上位にある自身の価値観から、最下部にある具体的な行動までが一本の線で結ばれることになります。
この瞬間、洗いだされた行動が価値観に根ざすものになるのです。価値観に根ざした行動は簡単にはブレません。
実際にこの行動を実行してみて思うのは、特別に意識をしなくてもやりたくなるということです。自分にとってその行動をとることが自然なことに思われるのです。



実際やりだすと「あれもやらないと、これもやらないと」と気になって集中できない

→ それをやる時間は確保済みと自分を安心させる

「実現させるために何をやるか」を考えている時には忘れている事実があります。それは、行動すると決めたその日にも食事をしたり、シャワーを浴びるといった日常の行動の他に、買い物や遊びに行く予定まで混在しているという事実です。

例えば、時間のある週末に行動しようと思っても、実際その日になってみると、掃除や洗濯など、その他にもやらなければいけないことがあるわけです。
これらの雑事も含めてやれる時間があると分かっていないと、目の前のことに安心して取り組めません。

私はタスクシュートを使って一つひとつのタスクにかかる時間を見積っています。
一日24時間という固定された枠から2時間をとったとして、その2時間に入る大きさかどうかを見るためです。

もちろん数秒違わぬ正確な見積りなどできませんが、「ふつうにシャワーを浴びて戻ってくるといつもだいたい20分」という感覚で見積もっています。
最初はおおざっぱであっても、何度か時間を測っていると、ある程度正確な時間を見積れるようになります。

時間を見積もっておくと、どのタイミングでどれくらいの時間がとれるのかが分かるのです。
他の日常の雑事や予定があったとしても、それらを含めていつ終わるのかを知ることができます。

さらに、時間を見積もっておけばその日や時間帯の空き具合がわかります。ここから、そのタスクをいつやるか決定することができます。
プロジェクト管理ツールに登録したタスクに日時を入れるのはこの時です。
画竜点睛のごとく、タスクに命が吹き込まれる瞬間なのです。

あとは、毎日繰り返す日常の雑事やその日の予定、TCMで洗いだしたタスクをタスクシュートに配置して、出来上がったリストを上から順にやればいいことになります。

クギの上から動くと決意し行動を洗い出したとしても、実行できなければ実現はしません。
戦略フェーズと実行フェーズの自分は別人だといつも感じますが、しっかりコミュニケーションをとっておかなければ、いつまでもクギの上から「やれたらいいな」と思いつづけることになるのです。


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