2011/11/15

仕事の中に作るたったひとつの完璧な場所

私は仕事でメールをつくることがとても多いのです。
複数社との取引の中で対応パターンが多く複雑な案件もあれば、ごく基本的なフローだけで済むような案件もあります。

それまではすべてのフローを整理し、把握しようとしていました。
しかし、取り組む前から圧倒的なボリュームを想像してしまい、いつまでも手付かずの状態でした。

そういう状況にいた私が、通勤する時に「ちょっと世界が変わったな」と思えたのは、仕事の中にたったひとつ完璧な場所を作ってからです。

複数社を受け持つ中でたった1社分、フローも特別複雑ではなく対応頻度も低い案件を選んで、メールのテンプレートと対応のチェックリストを作りました。
チェックリストはそのままフローになっていて、上から順番にやれば漏れないよう、細かくタスクを分解しました。

□ 受信したメールを転送する
□ 件名の末尾に受付番号を入れる
□ 本文にテンプレートの内容を貼る

分解するレベル感としてはこの位です。
こんなリストを作る方が、かえってめんどくさいと感じるかもしれません。

しかし、このリストを作ることで脅迫的に覚えることから自由になれたのです。

35×19を計算するのは難しくないでしょう。
しかしこのレベルの計算であっても、一日中暗算し続けるのには限界があります。
実際はこういう計算をしている最中に、同僚に話しかけられたり、上司から別の仕事を割り振られたりするわけですから、ノイズの中で暗算し続けているといえるかもしれません。

フローを思い出しながらの作業は、頭にそのメモリーを確保しながらの作業になるわけです。
しかし、そのフローをチェックリストにしておけば、今取り組んでいる項目以外は忘れていても平気なのです。
作業途中で話しかけられたとしても、朝から二日酔いでボーっとしていても、そのリストを上から順に消化すれば、いつも同じ精度の仕事を再現することができるわけです。

これがすぐに感じられる「完璧な場所」の効果と言えるでしょう。

さらに、完璧な場所を作ることで感じる変化があります。
それは「その場所を育てるのが楽しみになること」と、やがて「完璧な場所の外に出たくなること」です。

作ったばかりの「完璧な(はずと思える)場所」には、まだまだほころびもあるでしょう。
超レアケースな対応を迫られることもあるわけです。

そうして一つひとつ自分の作った場所を磨き上げていく作業は、すべてのアイテムを収集したい欲求にも似ています。
まだ知らなかったことを一つひとつ収集しては、完璧な場所を創り上げていくわけです。

しかし、完璧な場所が真に完璧になるに従い、やがてその知らないことの収集頻度は当初よりずっと落ちていきます。

そうして収集欲に駆られ、これまで創り上げた完璧な場所をベースとして、また1つ外の世界へと目を向けていくことになるわけです。